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2018-03-27

中国と日本の書道指導方法の違い

福山大学講師学院設立10周年記念行事の一つとして、上海師範大学張信教授による講座が設けられた。「中国と日本の書道指導方法の違い」について実技を交えて話された。
張先生は東京で10年書道を学ばれた時期があるので、日本語で講座をされ、日本の書道指導について、理解されている。「日本の書道は習字であり、中国の書道は書法です」といわれた。
大学などで専門に学ぶ以外は、日本ではほとんど「書道教室」に通って書道を学ぶ場合が多い。そして日本に数ある書道会の中で師範となり指導者になる。よって指導者の実力に差があるのが事実であり、そこの会の「手本」を書き写す。日本の書道は「習字」なのである。
中国では手本は古典である。小学生であってもひたすら古典の臨書をして書を学ぶ。書法を学ぶのである。だからどの指導者についても、どんな書体を多く学ぶかという違いはあれ、日本のように指導者によって文字が違うような差はないのである。
作品作りでは、古典の臨書を基本とした中国のものは「味がない」「印刷のよう」という感想を持つ人もいるが、「美しい」と表現をする人もいる。一番美しいとされる古典の臨書を繰り返してきたからだろう。
日本でも臨書の大切さを口にする指導者は多いが、それぞれの古典の特徴まで指導してくれる人は少ない。私が初めて臨書作品を書くとき、当時の先生に言われたのは「本屋さんにいって、法帖をみて、自分の好きなものを選びなさい!」と言われた。二玄社の中国書法選の本棚の前に座り込んで時間を忘れて端から本を開いた。
意味など分からないのだが、それぞれの書体の特徴の違いを眺めながら「かっこいい」「こんな字を書きたい!」と直感で選んだのが顔真卿「多宝塔碑」だった。
夢中になって書き写しながら、それまで自分の楷書がどうして上手にならなかったのか?わかってきた。書法を意識していなかったのだ。手本を写すことは上手になっても、点画の筆の運びを理解できていなかったことに気付かされた。
書道をやっている皆さん!初心者でも経験の長い人でも、一度何か一つお気に入りの古典を見つけて臨書をしてみませんか?きっともう一段ランクアップしますよ!(^^)!
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